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「エクスプレッシブライティング」とは?書き方と注意点

最終更新日:2026年8月14日  読み終わるまでの目安 3分

エクスプレッシブライティングは、条件を守って書くだけの技法です

エクスプレッシブライティングとは、つらい出来事や感情を、誰にも見せない前提で紙に書き出す心理学の手法です。

日本語では、「筆記開示」とも呼ばれます。

やり方は難しくありません。

1日20分程度、4日間続けて、心の中にある感情をそのまま書き出す。

これだけです。

特別な道具も、書き方の訓練も必要ありません。

次の章から、この技法の由来と、具体的な手順を順に説明します。

由来はペネベーカー博士の実験です

エクスプレッシブライティングを最初に実験で確かめたのは、アメリカの心理学者ジェームズ・ペネベーカーです。

1986年、テキサス大学の学生を対象にした実験が、この技法の出発点になっています。

対象は46人。

被験者は2つのグループに分けられました。

  • 一方は、つらい出来事について感情を書く
  • もう一方は、日常の出来事について事実だけを書く

条件は、1日15分から20分、4日間連続で書くこと。

書いた内容は誰にも見せず、提出も添削もされません。

その後の追跡調査で、感情を書いたグループは、その後半年間の保健センターへの来院回数が、もう一方のグループより少なかったと報告されています。

以降、同様の実験は150件以上重ねられました。

2006年に146件の研究をまとめた分析でも、心と体の健康にプラスの効果が見られたとされています。

効果の大きさは小さめから中程度。

実験後しばらく経ってからの追跡調査でも、効果が残っていたと報告されています。

万能の治療法というわけではありませんが、条件を守って書くだけで変化が測定された、数少ない書く技法のひとつです。

やり方は、次の5つの手順です

実験の条件をそのまま日常に持ち込めば、そのままやり方になります。

  1. 紙とペン、またはメモアプリを用意する: 特別な道具は必要ありません
  2. 1回15分から20分、タイマーをかける: 途中で手を止めても、時間まで机に向かいます
  3. 心の中にある、感情の出来事を書く: 今悩んでいること、過去の出来事でも構いません
  4. 文法や誤字は気にせず書く: 読み返して直す必要はありません。手が止まったら、同じ言葉を繰り返し書いてもよいとされています
  5. 同じテーマで、4日間続ける: 毎日違う話題に散らさず、同じ出来事について書き続けます

途中でつらくなったら、時間内でもやめて構いません。

書き終えた紙は、保管しても、読み返さずに捨てても、どちらでもよいとされています。

多くの解説記事は継続や上達に焦点を当てますが、実は、この技法の利点は「4日間だけの実験」として区切って始められることです。

日記のように毎日続ける決意も、うまく書く工夫も必要ありません。

4日間だけ試してみて、それで終えてよいのです。

書く前に知っておきたい注意点

エクスプレッシブライティングは、誰にとっても同じように働くとは限りません。

始める前に、次の点を知っておきます。

  • つらい出来事の直後は、無理に書かない: 出来事が起きてすぐの時期は、書くことでかえって気持ちが揺さぶられる場合があります。少し時間をおいてから試すほうが安全です
  • 治療の代わりにはならない: エクスプレッシブライティングは、心療内科やカウンセリングの代わりになる治療法ではありません。すでに通院している場合は、担当の専門家に相談してから取り入れます
  • つらくなったら、途中でやめる: 4日間を書き切ることよりも、そのときの自分の状態を優先します

この3点を守ったうえで、無理のない範囲で試すのがよい距離感です。

紙とアプリ、どちらで書けばいいのか

エクスプレッシブライティングは、紙のノートで十分に成立する技法です。

ペネベーカーの実験自体、紙に手書きする形で行われています。

アプリを使う利点は、主に2つあります。

  • ロックをかけられる: 端末やアプリにロックをかければ、誰にも見せない前提を保ちやすくなります
  • 場所を選ばない: 通勤中や外出先でも、思い立ったときにすぐ書き始められます

Webページの場合であっても、選ぶ基準は変わりません。

共有機能がなく、記録が本人以外に読まれない設計かどうかを確認します。

紙かアプリかは好みの問題であり、どちらか一方が正解というわけではありません。

誰にも見せない場所の一例として

ここまで、エクスプレッシブライティングのやり方を見てきました。

最後に一例として、私たちがつくっている「金継ぎジャーナル」というAI日記アプリを紹介します。

「金継ぎ」とは、割れた器を漆や金で継いで直す、日本の伝統的な修復技法です。

その様子が、傷や失敗を隠すのではなく、歴史や誇りとしてとらえる生き方のメタファーとして、近年海外からの注目を集めています。

このアプリは、書いたことを誰にも見せない前提で設計されています。

共有機能はなく、投稿も公開もフォローもありません。

書く画面はシンプルで、今日の気持ちをひとこと入力するだけで、その日の記録が完了します。

書いた言葉には、AIが内省の言葉を返します。診断や説教、何かへの勧誘はしません。

書くたびに、器のピースが1つずつ金の線で繋がれていき、14日でひとつの器が完成します。

4日間のエクスプレッシブライティングを終えたあとも、書くことを続ける場所として、試してみませんか。

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